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診療科・部門

糖尿病指導

糖尿病とは

糖尿病は、膵臓のβ細胞から血中に放出されるインスリン作用の絶対的もしくは相対的不足によって、血液の中の糖分が多くなりすぎて全身の血管や神経が傷害される全身性の代謝疾患です。
糖尿病が恐ろしいのは、放置すると失明したり、腎不全になって、血液透析を受けなければならない状態になったり、動脈硬化が健常者よりも、10年くらい早く進んでしまうために、脳血栓や、心筋梗塞、足の壊疽にもなりやすくなることにあります。出来るだけ早期に発見して日常生活でしっかりと血糖値をコントロールするための対策を立てることで、これらの恐ろしい合併症を防ぐことが出来ます。
身内に糖尿病の人がいる、あるいは比較的若くして脳血栓や心筋梗塞になった人がいる場合は、定期的に糖尿病の検査を受けるようにしてください。

食事と運動

治療はまず食事療法です。何を食べても良いのですが、バランスよく、量は腹八分目を心がけましょう。
野菜→おかず→ごはんの順で食べるようにしましょう。甘いものやアルコールは出来るだけ控えてください。男性はアルコール、女性は間食に用心が必要でしょう。薄味にすること、よく噛むことも大切です。また、食事内容はその人を表しているとも言われています。本院は、専門の栄養士による食事指導にも力を入れておりますので、栄養指導を通してまずはご自身の食生活を客観的に振り返ってみることから食事療法を始めてみませんか。

運動は無理がなく続けられる運動をしましょう。うっすらと汗が出るくらいの歩行を一日に2回くらい出来ればよいでしょう。
皆さんはニート:NEAT(non-exercise activity thermogenesis)という言葉をご存じでしょうか。これは、運動ではない日常生活における身体活動によるエネルギー消費のことを意味しています。日常生活の中で、テレビを観る時間が多い人や座っている時間が長い人の方が、健康寿命が短くなるという事が報告されています。
つまり、忙しかったり、時間がなかったり、面倒だからという理由で「運動」を始められない方は、「生活活動」を増やすことでも充分に健康増進できるということです。エレベーターなどは使わずに階段を使うようにしましょう。いつもより遠回りして家に帰ったり、コンビニに自転車や車を使わず、歩いていきましょう。テレビのリモコンを少し遠くに置いたり、30~1時間テレビを観たら、休憩して部屋の中をウロウロしてみたりしましょう。ラジオ体操、家事なども有効です。何でもいいので、少しでも身体を動かすことを意識することから始めてみませんか。ご自身の将来のためにも。

薬物療法

食事や運動の基礎治療をしっかりしても十分でないときに内服治療及びインスリンやGLP-1作動薬の注射治療を行います。
内服治療は量を少なめに膵臓を疲労させないように使います。新薬がいろいろと出ていますが、副作用に注意しながら特色を生かすように使います。インスリンを嫌がる患者さまが多いのですが、インスリンは糖尿病の薬の中で一番歴史があり、基本の薬です。
医師からの勧めがあれば、早く使って早く状態を良くするのが得策です。

定期的に受診しましょう

糖尿病を早く発見して合併症を起こさないように、不幸にして合併症を発症したら出来るだけ進行しないように、一緒に頑張りましょう。
糖尿病は、病気というより体質といいかえてもいいでしょう。その体質は一生続くわけで、治る病気ではありません。しかしコントロールさえしっかり行えば合併症を防ぐことが出来ます。

糖尿病はこれといった症状がないために診察を怠りがちになってしまう方がいます。糖尿病外来では患者さまが定期的に診察できるように予約制としていますので、決められた日には必ず診察を受け、血糖のチェック、コントロールに努めてください。
医師の指示によりインスリン療法をする場合がありますが、練習すればだれでも大丈夫、すぐにできるようになります。注射の練習には、薬剤師と看護師が出来るようになるまで一緒に練習していきますから心配は無用です。1回で取得できる方から数日通院される方まで、その人のペースに合わせて練習、見守りから自己注射へと導いていきます。また、フットケアにも力を入れております。本院では医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、検査技師等とともにチーム医療に努めています。

最後に

糖尿病は治る病気ではありませんが、悲観せず、病気を正しく理解して仲良くつきあっていくことが大切です。そのため、本院では糖尿病の患者さまに画一的な治療や押し付ける治療はしておりません。一人一人の生活や生活様式及びADL等を考慮して各人と納得がいくまで話し合い、糖尿病治療の管理コントロールと目標を定め、それに沿ったオーダーメイドの治療を行うことを心がけております。そして自分なりのペースで血糖のみならず、体重、血圧、血清脂質を良好にコントロールすることに努め、それを維持していく事で、前述のような糖尿病の合併症の発症及び進展を阻止し、健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)を維持し、健康な人と変わらない健康寿命を確保していこうではありませんか。糖尿病治療の主役はあなた自身なのですから。

文責:糖尿病内科 水江久一

診療表

午前診療 9:00~12:30

診療室
②診 水江 水江

医師紹介

医師名 役職 出身・専門認定資格等
水江 久一
(みずえ ひさかず)
医師 出身
神戸大学 医学部出身