進化する、学び。

良質で安全安心な医療、看護を提供するためには日進月歩する技術を常に学び続ける環境が必要です。
私たち看護部では看護部教育委員会メンバーが中心となって計画を立案し、新人ナースもベテランナースも共に成長していけるよう取り組んでいます。

研修・教育体制

新人教育には卒後研修を「ひまわり研修」として年間を通じてカリキュラムを組んでいますし、看護師個々のスキルアップを支援する充実した院内研修(ラダー研修、伝達研修など)の開催を組織しています。
今年度は例年より多くの新人看護師の入職があり、新人教育と定着を目指してサポートしていく事を目標に掲げました。
そこでスタッフ向けの教育方法についての研修を取り入れて皆が同じレベルで指導していけるように取り組みを行っています。
当院はスタッフの年齢の幅がとても広いことが特徴で、同世代同士の横のつながりに加えてときには母親のように包み込むような視点で後輩に向き合うことができる多彩で温かいコミュニーションができることは当院の強みでもありますが、「今どきの若者」とギャップのある層があることもまた事実です。そんな世代間交流をスムーズにする人財育成マネジメントの見地から、主にベテランナースに研修を受けてもらい、それをほかのスタッフにも伝達研修していく試みを始めています。
現場の意見から学び現場の元気につながる試みを行っていきたいと思います。

看護副部長 金 明恵


クリニカルラダー研修

院内教育の軸としてクリニカルラダー研修を導入しています。 看護実践・マネジメント・人間関係・教区研究の項目別に研修をプランし、臨床実践能力を段階的に学び、評価することでスキルアップを図っていきます。
2022年度からはJNA(日本看護協会)ラダー導入に向けて準備を進め、レベル基準を見直し、看護師個々のレベルを選定していきます。
方向性:全職員2回/年参加必須 不参加研修は視聴+テスト実施70点に達するまで繰り返し。年間参加日程は教育委員会より年間の日程を年度はじめに配布

2022年度のラダー研修の内容

ニーズをとらえる力 ケアする力 協働する力 意思決定を支える力
ラダー1 見えないニーズをとらえよう 患者の痛みを知り、疼痛ケアに活かす 新人看護師が身に着けたい協働するコミュニケーション 患者の希望をかなえ、家族を支えるエンド・オブ・ライフケア
ラダー2 高齢患者をサルコペニアフレイルにさせないために はじめてのリフレクション・実践を新たなケアにつなげる メンバーシップ・フォロワーシップ、みんなでつくる働きやすい職場 患者の希望をかなえ、家族を支えるエンド・オブ・ライフケア
ラダー3 チームで成果を上げる目標管理 管理者から見るスタッフのメンタルケア 多様なメンバーが働きつづけるために 他職種連携を基盤としたアドバンス・ケア・プランニング
ラダー1 ラダー2 ラダー3
ニーズをとらえる力 見えないニーズをとらえよう 高齢患者をサルコペニアフレイルにさせないために チームで成果を上げる目標管理
ケアする力 患者の痛みを知り、疼痛ケアに活かす はじめてのリフレクション・実践を新たなケアにつなげる 管理者から見るスタッフのメンタルケア
協働する力 新人看護師が身に着けたい協働するコミュニケーション メンバーシップ・フォロワーシップ、みんなでつくる働きやすい職場 多様なメンバーが働きつづけるために
意思決定を支える力 患者の希望をかなえ、家族を支えるエンド・オブ・ライフケア 患者の希望をかなえ、家族を支えるエンド・オブ・ライフケア 他職種連携を基盤としたアドバンス・ケア・プランニング


看護研究

当院では、医療技術の向上のための学会や研修会の参加を積極的に奨励しています。看護部でも積極的に外部研修にも参加できる体制を組み、学んだ内容を看護実践に生かせるように取り組んでいます。大阪府看護協会をはじめ各専門性を高める研修会や学会に多数参加しています。
毎年病院の全部門対象で開催される院内学術発表会(6月と10月※看護部は10月)では、全部署が年度当初から研究活動をした成果を発表する場であり、各部署担当を決めて積極的に研究活動を行っています。。
学会での症例発表や院内学術発表会の優秀演題に対しては病院から表彰と奨励金の授与を行っています。

2020年度 院内学術発表会演題

当院では、医療技術の向上のための学会や研修会の参加を積極的に奨励しています。看護部でも積極的に外部研修にも参加できる体制を組み、学んだ内容を看護実践に生かせるように取り組んでいます。大阪府看護協会をはじめ各専門性を高める研修会や学会に多数参加しています。
毎年病院の全部門対象で開催される院内学術発表会(6月と10月※看護部は10月)では、全部署が年度当初から研究活動をした成果を発表する場であり、各部署担当を決めて積極的に研究活動を行っています。。
学会での症例発表や院内学術発表会の優秀演題に対しては病院から表彰と奨励金の授与を行っています。

  • 採血データ表を導入した患者指導
    透析室 尹 直子

  • 簡易報告書によるヒヤリハット報告数増加を目指して
    6階病棟 高昌福、坂根真由美、崔馨文

  • 褥瘡治癒遅延・悪化要因に着目した取り組み(優秀演題賞)
    4階病棟 陳珠恵、林清美、高山麗淑

  • その人らしい生活の支援
    7階病棟 金成姫、梁明姫、永下響

  • 洗浄剤としての効果を期待した重曹清拭の検証
    3階病棟 李美佳、今中ひろみ

  • 介護牽引における腓骨神経麻痺の出現と新たな問題点の調査
    5階病棟 齋藤祐史、李暢順

※2021年度は新型コロナの影響により未実施

優秀演題賞受賞 4階病棟

2020年度学術発表会 優秀演題賞

褥瘡治癒遅延・悪化要因に着目した取り組み

4階病棟 TTさん

以前褥瘡をテーマにした3日間の院外研修に参加させていただいて、その内容に大変感銘を受けたんです。これを何とか実践したいと言う思いがあって、看護研究の担当に選ばれた時には我が意を得たりと言う気持ちだったんです。
私の所属していた医療療養型病棟は褥瘡発生ハイリスク患者さまが多く、院内でも褥瘡発生リスクが最も多かったんです。褥瘡をテーマに考えていたところ褥瘡を発生させないと言う事はよく目標に掲げられますが、発生した褥瘡に対しての目線は薄いのではないかなと感じ今回の看護研究テーマに至りました。
スタッフはそれぞれの経験に基づいた知識やこだわりがあり、私もケアの見直しを働きかけるにおいては中途半端な知識のままではいけないと考えましたが、コロナ禍であり褥瘡研修は当面中止の事態に…。インターネットで検索していると外部研修を受けた時の皮膚・排泄ケア認定看護師入江眞由美先生の記事が見つかったんです。
すぐに連絡先を調べてご連絡させていただくと快く承諾していただきお会いしたのが昨年の6月、たしか1回目の緊急事態宣言が解除された頃でした。
入江先生からは褥瘡ケアに関わる一連の知識を沢山習得することができました。患者さまの身体的要因から褥瘡が発生し、なかなか治癒に至らず悪くなってしまう事は看護に携わる私達の気持ちのどこかで仕方がない事と諦めていた部分がありました。でも研修に参加して、私達が患者さまに行っているケアを振り返る必要があると思ったんです。
私達が行なっているケアの間違えや気づきが沢山ありました。今まで私達が行ってきた褥瘡ケアを見直し、外力排除ケアを重点に置いた体位変換やポジショニングも見直しました。褥瘡ケアについては看護師だけでなく、助手さんも含め病棟スタッフ全員と統一した手法をとっていかなければならないのですが、手技だけを伝えてもどこかで崩れてしまう。褥瘡に関心を持つこと、みんなの意識を変えるためにと積極的に勉強会を実施し、週1回褥瘡カンファレンスをもつことにしました。

褥瘡ケアにはしてはいけないことがたくさんあって、まずはそれを知らなくてはなりません。ふやけ、圧迫、しわにつながることはそのまま即褥瘡悪化につながります。それまで当たり前のように行ってしまっていた排泄漏れの予防のための紙おむつを重ねることも褥瘡を悪化させる要因になっていたのです。寝たきりだから褥瘡になっているだけではない、ひとつひとつのケアを見つめなおすと私たちが悪化させているのだという発見がたくさんありました。そこに着目すると、排泄が多いなら下剤のコントロールをしようであったり、まめにオムツ交換をしようであったり、できることはたくさん見つかるわけです。
業務に負担がかかると懸念する声も最初はありましたが、何よりも「患者さんのためになる」と効果を確信できたことで最後は一丸となってみんなで取り組むことができました。1つのケアに対して改良点が見つかると「絶対褥瘡治したんねん!」と皆テンションが上がるようになっていきました。
この間の取り組みで褥瘡が悪化する方は皆無になり、ほとんどの方が寛解され、褥瘡が完治する患者さんもいらっしゃいました。成果はたくさんあって、その一つ一つに思い入れがあったので、発表原稿にしてみると原稿用紙13枚、通常7枚とされているとは承知しているのですが、私にはもうこれ以上は削れないというのが正直な気持ちでした。自分ではどうしようもなく病棟メンバーみんなにお願いして泣く泣く削ってもらい、おかげでギュッとしまった原稿になりました。研究活動からプレゼンまでスタッフ皆の協力、サポートがあって完成した研究発表だったんです。
優秀演題賞は光栄ですが、皆で取り組んで患者さまの痛み、症状を緩和することに貢献できたことが何よりうれしかったです。また、今回の活動をきっかけに講師の入江先生井と深い交流が生まれたことも私にとって何物にも代えがたいことでした。
今年は3階病棟に部署異動となりましたが、看護部の褥瘡委員会のメンバーになりました。9月にはふたたび褥瘡の外部研修に行かせてもらえる予定で、大変楽しみですが、コロナで中止になりませんように…。