2015年度 第2次院内学術発表会

2015年度第2次院内学術発表会演題
- アルコール綿花パックから単包化へ(中材)
- スキンテアの予防に対する取り組み(4階病棟)
- 胃瘻造設患者の“食べたい”と言う思いを尊重し誤嚥を繰り返しても経口摂取をあきらめなかった事例(3階病棟)
- 当科における退院支援改善への取り組み(7階病棟)
- 糖尿病療養指導における看護師の行動変容(6階病棟)
- 万寿苑の看取り~穏やかで自然な最期をみんなで支える~(特別養護老人ホーム万寿苑)
- チェックリストを用いた 病棟・透析室間の申し送り廃止に向けた取り組み(透析室)
- 看護援助に繋がる呼吸音聴取の統一に向けて(5階病棟)
- セデーション下大腸内視鏡検査後の患者観察に回復帰宅基準スコアシートを用いて(外来)
2015年度第2次院内学術発表会審査員特別賞受賞受賞
スキンテアの予防に対する取り組み
- 4階病棟 伊藤愛
- 朴貴英
- 金初美

伊藤 愛さん(准看護師)
「スキンテア」とは皮膚裂傷のことで、最近注目されてきた言葉なのですが、まだあまり浸透しておらず、私たちの間でも「スキンケアの間違いちゃうの?」と言われるくらい比較的新しい題材でした。だから資料や文献も乏しいテーマでもあります。私たちがまずこのスキンテアについて理解し、部署皆で認識を深めることが大切であると思いました。
医療療養型病棟では皮膚が脆弱なためにこのスキンテアに悩まされている患者様が多く、服を脱ぐときやテープをはがすとき、車いすへの移乗の時にベッド柵に触れたりするだけでも皮膚がはがれてしまうこともあるんです。
研究は、スキンテアになりやすい要因を調査するところから始めました。糖尿病の方や透析治療を受けられている方、むくみの多い方など、スキンテアの要因となる因子はさまざまですが、それらを8項目に分類することから始めました。それらをリスクの高いもの別にさらに分類し、最終的に3つに分類しました。また、それぞれに対してスキンテアを防止する見地から何に注意すべきかを検討することにしました。
スキンテアのリスクの高い方、中程度の方、リスクの低い方をそれぞれ赤、黄、青のテープでベッドサイドに表示するようにしました。こうすることで情報を共有し、リスクの高い人にはテープのはがし方や保湿、移動の時の注意点など、特に注意を払うべき項目を整理しまとめました。日常的に患者様とかかわる助手の方々に特に理解してもらうことが大切です。専門用語ではなくわかりやすくまとめて伝達することに勤め、実践していただきました。そうしたみんなの取り組みにより患者様のスキンテアが0件になるという成果が得られたことは、何よりもうれしかったことです。
私はこの研究をすすめているときに妊娠していることがわかって、体調が悪くなってしまうことが多かったんです。みんなの代表なのに迷惑をかけてしまっているのではと、すごく思い詰めたこともありました。そんな私を部署のスタッフ皆が気づかい、はげましてくれましたし、取り組みを進めていただきました。
でもいよいよ発表にまとめる段階になって私は切迫流産の為、自宅で安静にすることになってしまったんです。 私はメールでやりとりするばかりで、実作業は完全にスタッフの力を借りることになってしまいました。特に論文作成には主任さんに尽力していただき、わかりやすく整理された内容の濃い文章に仕上げていただきました。
病棟に復帰できたのが、発表会まで1か月を切った所でした。発表本番ではとにかく緊張してしまい、途中で会場の電話が鳴った瞬間に頭が真っ白になってどこを読んでいたかわからなくなったり、ひやひやでした。発表後は、とにかく終わった!という充実感はありましたが、いっぱいいっぱいだったために他の部署の発表は全く頭に入ってこなかったので、受賞のことは意識もしていませんでした。
受賞したことを聞いたのは産休に入ってからでした。お話した通り、研究の成果は私の者ではなく、本当に4階スタッフ皆の成果なんです。私にとっては学術発表と次女の誕生という本当に大変で且つ充実した貴重な体験でした。この4月に授かった次女は院内保育所に預けながら外来で勤務することになりました。スキンテアのことで勉強したことが外来の患者様にも貢献できるように頑張りたいです。