ヘルシープラザ

2020年度院内学術発表会

優秀演題賞 褥瘡治癒遅延・悪化要因に着目した取り組み

4階病棟 陳 珠恵さん

以前褥瘡をテーマにした3日間の院外研修に参加させて頂いて、その内容に大変感銘を受けたんです。これを何とか実践したいと言う思いがあって、看護研究の担当に選ばれた時には我が意を得たりと言う気持ちだったんです。

 私の所属していた医療療養型病棟は褥瘡発生ハイリスク患者様が多く、院内でも褥瘡発生リスクが最も多かったんです。褥瘡をテーマに考えていたところ褥瘡を発生させないと言う事はよく目標に掲げられますが、発生した褥瘡に対しての目線は薄いのではないかなと感じ今回の看護研究テーマに至りました。

  スタッフはそれぞれの経験に基づいた知識やこだわりがあり、私もケアの見直しを働きかけるにおいては中途半端な知識のままではいけないと考えましたが、コロナ禍であり褥瘡研修は当面中止の事態に…。インターネットで検索していると外部研修を受けた時の皮膚・排泄ケア認定看護師入江眞由美先生の記事が見つかったんです。

 すぐに連絡先を調べてご連絡させていただくと快く承諾していただきお会いしたのが昨年の6月、たしか1回目の緊急事態宣言が解除された頃でした。

 入江先生からは褥瘡ケアに関わる一連の知識を沢山習得することができました。患者様の身体的要因から褥瘡が発生し、なかなか治癒に至らず悪くなってしまう事は看護に携わる私達の気持ちのどこかで仕方がない事と諦めていた部分がありました。でも研修に参加して、私達が患者様に行っているケアを振り返る必要があると思ったんです。

 私達が行なっているケアの間違えや気づきが沢山ありました。今まで私達が行ってきた褥瘡ケアを見直し、外力排除ケアを重点に置いた体位変換やポジショニングも見直しました。褥瘡ケアについては看護師だけでなく、助手さんも含め病棟スタッフ全員と統一した手法をとっていかなければならないのですが、手技だけを伝えてもどこかで崩れてしまう。褥瘡に関心を持つこと、みんなの意識を変えるためにと積極的に勉強会を実施し、週1回褥瘡カンファレンスをもつことにしました。

 褥瘡ケアにはしてはいけないことがたくさんあって、まずはそれを知らなくてはなりません。ふやけ、圧迫、しわにつながることはそのまま即褥瘡悪化につながります。それまで当たり前のように行ってしまっていた排泄漏れの予防のための紙おむつを重ねることも褥瘡を悪化させる要因になっていたのです。寝たきりだから褥瘡になっているだけではない、ひとつひとつのケアを見つめなおすと私たちが悪化させているのだという発見がたくさんありました。そこに着目すると、排泄が多いなら下剤のコントロールをしようであったり、まめにオムツ交換をしようであったり、できることはたくさん見つかるわけです。

 業務に負担がかかると懸念する声も最初はありましたが、何よりも「患者さんのためになる」と効果を確信できたことで最後は一丸となってみんなで取り組むことができました。1つのケアに対して改良点が見つかると「絶対褥瘡治したんねん!」と皆テンションが上がるようになっていきました。

 この間の取り組みで褥瘡が悪化する方は皆無になり、ほとんどの方が寛解され、褥瘡が完治する患者さんもいらっしゃいました。成果はたくさんあって、その一つ一つに思い入れがあったので、発表原稿にしてみると原稿用紙13枚、通常7枚とされているとは承知しているのですが、私にはもうこれ以上は削れないというのが正直な気持ちでした。自分ではどうしようもなく病棟メンバーみんなにお願いして泣く泣く削ってもらい、おかげでギュッとしまった原稿になりました。研究活動からプレゼンまでスタッフ皆の協力、サポートがあって完成した研究発表だったんです。

 優秀演題賞は光栄ですが、皆で取り組んで患者様の痛み、症状を緩和することに貢献できたことが何よりうれしかったです。また、今回の活動をきっかけに講師の入江先生井と深い交流が生まれたことも私にとって何物にも代えがたいことでした。

 今年は3階病棟に部署異動となりましたが、看護部の褥瘡委員会のメンバーになりました。9月にはふたたび褥瘡の外部研修に行かせてもらえる予定で、大変楽しみですが、コロナで中止になりませんように…。

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