ヘルシープラザ

健康教室『インスリンについて』

健康教室『インスリンについて』

2015年9月8日(火)

共和病院 薬局 鄭 綾華(薬剤師)

 9月8日(火)、共和病院カンファレンスルームにて健康教室『インスリンについて』が行われました。 
 「先生にインスリンを打ちましょうと言われたけど、もしかして症状が悪化しているってこと?」「打ち始めたら一生打ち続けないといけないの?」「注射って痛いんじゃない?」など、インスリンには不安や疑問が多く存在します。今回は、それらにお答えすると同時に、糖尿病やインスリン治療の基本的なお話、注射時の注意点等も詳しく説明させていただきました。
 次回もたくさんの方のご参加をお待ちしております!

●インスリンの歴史

1889年:ドイツのオスカル・ミンコフスキーとヨーゼフ・フォン・メーリングが、すい臓を摘出された犬の尿にハエが群がっていたことがきっかけで、糖尿病とすい臓の関係に気付く。

1922年:1型糖尿病の患者だったレオナルド・トンプソン君(当時14歳)に世界初のインスリン投与が行われ、血糖値が劇的に改善。

1924年 世界初のインスリン専用注射器発売。
1961年 使い捨てのプラスチック製注射器発売。
1981年 日本でインスリン自己注射の保険適用が開始。
1985年 注射針のみを使い捨てにした世界初の
      インスリンペン型注入器(ワンプッシュ2単位)。
2002年 フレックスペン発売。
      投与量は注入ボタンを回して調節可。
2013年 フレックスタッチ発売。
      表示をさらに見やすく改良。注入圧も軽く押しやすい。

●インスリン注射の注意点

注射部位:おなか、腕、太もも、おしり

注射ごとに2~3cmずつ、注射の位置をずらしましょう。

毎回同じ場所に注射を打ち続けてはいけません。

→インスリンの吸収率にも乱れが生じ、血糖コントロールにも影響します。

インスリンが変色したり、浮遊物があったら使ってはいけません。

→インスリンの成分が変性し、期待する効果が得られない可能性があります。

●インスリンの保存方法

未使用のインスリン製剤:冷蔵庫(2~8℃)で保存

使用中のインスリン製剤:室温(1~30℃)で保存

高温になる場所、直射日光のあたる所には置かないでください。

●インスリンについてよくある質問

Q.インスリンを打つってことは重症なの?一度始めたら一生続けるの?

A.2型糖尿病の場合、そうとは限りません。
日本糖尿病学会の糖尿病治療ガイドの中でも、インスリン療法は初期の段階から選択肢の1 つに入っています。重症だからというわけではありません。血糖コントロールがよくなり、分泌されるインスリンが回復すればやめられる可能性があります。体がインスリンに依存することもありませんし、決して最終手段ではありません。

Q.低血糖にならないか不安です。

A.低血糖を防ぐために最初は少量から開始して様子をみながら増量することが多いです。特に高齢者の場合は少し高めの血糖値を維持するようコントロールします。低血糖の症状や対処法、どのような時に起こりやすいのかを自分で把握しておくこと、家族やまわりの人にも知っておいてもらうことが大切です。可能なら自己血糖測定を行い自分の血糖値を把握することも有用です。

Q.注射って痛いんじゃないですか?

A.注射針はより細いものを実現するために改良が重ねられてきました。現在使用されている針はほとんど痛みを感じないと言われています。
また、注射針の再使用は痛みを増強する要因のひとつです。現在使用されている細い注射針は、複数回の使用に耐えるような耐久性はないため、1回の使用が基本です。また、消毒綿で拭いた後、アルコールを十分乾かしてから注射をすると痛みが少ないとも言われています。

Q.今のままの治療ではいけないのですか?

A.インスリンは確実に血糖値を下げますが、経口糖尿病薬治療(飲み薬)には限界もあります。インスリンは元々身体の中に存在する生理活性物質です。糖尿病患者さんでは不足したり、効果が少なくなっているインスリンを、外から補ってあげるのは、とても自然で安全な治療法と言えます。インスリンは副作用も少なく、血糖値を下げる効果が確実なため、合併症の不安も少なくなり、患者さんにとって、とてもメリットの多い治療法です。

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